浮世 M' e Lan chol y

何処かの知らない誰かの話

浮世 Melancholy

-The future is the past-右にしか回らない秒針に虚しく慟哭する日々過去を悔やむ瞬間もその刹那に過去となる未来とは時間の先に佇まう様なものではなく現在を消費し積み重なった過去の成れの果て我々は技術の発展により宇宙や月で暮らせれど未来を掴みなが…

Another

日が沈みゆく部屋で現実が遠のいていく 在り来りな表情を浮かべて目を擦り 浮き彫りとなる境界線が背中を押す 欠伸で劣等感を呑み込んで立ち上がり 掠れゆく鬱蒼とした存在意義へと手を伸ばした ノスタルジックな柄のソファで目を覚ました 薄目の先には暗い…

春夏秋冬

春ニナリ、桜ガ咲イテ、私ハ枯レタ 夏ニナリ、蝉ガ鳴イテ、私ハ哭イタ 秋ニナリ、椛ガ揺レテ、私ハ落チタ 冬ニナリ、霜ガ降リテ、私ハ消エタ 幼い頃に何度か遊んだ「あの子」は 何年か前に流行り病で亡くなったらしい 無邪気に笑う人だったことは覚えている …

ephemeral

「先生、今日の空すごくきれい」「先生、この花かわいい色だね」そう聞こえ、見上げた空は何処までも白く薄黒い花は無邪気な少女の手の中で咲いていたいつか僕の世界に虹が架かったなら曇り空や雨も好きになれるだろう僕はちゃんと想像できているかいあたりまえ…

親の心子知らず

何もかもが意味を無くし世界の淵に立った時 静寂が恐ろしいものだと改めて実感した 自分にとって都合のいいように物事を捉え あの人は、あの人ならこれを望むだろうと 現実から目を背けるように想像の中へ身を投げた 期待を裏切られ、どれだけ失望したとして…

Ambiguous

自分の心すらまともに理解できずに他人の心なんて理解できるはずもないそれでも人は他人に理解を求めて共感を得ようと必死になる退屈な独りよがりの時間が今日も過ぎる見飽きたからくり時計の秒針が年老いて寂れた音で幾度となく同じ道を辿り数え切れない私…

氷点下

急に来てごめんね、だけど こうでもしないと君は会ってくれないだろう その服、別の男に貰ったのかい いや、よく似合ってるよ...すごく、ね。 煙草の煙を纏った「すき」を伝えてくれる君と 僕の夢を葡萄酒で流し込む君が好きだったよ 君がどのように産まれ育ち…

売女

あら、またあなたなの よっぽど暇なのね こんな所に何度も来るなんて いったい私の何を買いたいのかしら 私が形の無い「ソレ」に興味を持たない事を 薄汚れた世を映して生きてきたあなたが 何故そんなに綺麗な涙を流してまで 何かを失ったかのように悲しむのか…

腐乱臭

いらっしゃい...ああ、あいつならもう居ないよさぁどっかで身売りでもしてるんじゃないかいお客さんも物好きだねぇあんな女のどこがいいんだか...自分の知らない誰かが口を揃えて言う嘲笑しながら私に向けられている言葉その言葉を正確には聞き取れない、が…

十人十色

かって嬉しい花一匁、まけて悔しい花一匁あの子が欲しい、あの子じゃわからん相談しましょう、そうしましょう産声をあげたその瞬間、いやそれよりも更に前受精をした際に決まる人間性「個性」同じ環境下で同じ教育を受けて同じ時間を二人で十年備わった基礎の…